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好きなんだ 千世ちゃんのこと。 大好きなんだ。
< ただの ひる友と思っていた
瀬尾さんに
私こと 篁千世は
いきなり 告白されたのですが
返事に困った私は…>
やっぱり 千世ちゃんだ!
帰りに会うなんて 初めてだね!
<瀬尾さんと 気まずい関係に…>
大丈夫ですよ!
<久しぶりに会って…>
<私を気遣う 瀬尾さんの優しさに触れて…>
おためし の期間を もらってもいいですか?
おためし?
おつきあいの おためし期間。
よろしくお願いします!
<ということで
私は 今 ここに…>
千世ちゃん 先に言っておくけど 無理って思ったときは
いつでも 拒否してくれていいからね。
えっ? すぐ やめるから。
《すぐ… やめられるんだ…。
それって きっと
私に 女としての魅力が ないから?》
無理なときは
僕を 思いっきり 突き飛ばしていいからね。
えっ?
途中で やめられる 自信ないから…。
~
瀬尾さん…?
《ち… ちちち 千世ちゃん
バスローブの下 何もつけてない…。
これって…》
<実は 今から小1時間前…>
《しまった…。
えっと… あれ買ったの いつだっけ?
たしか スーパー ソイユーの
歳末ワゴンセールで 買ったものだから…》
3年前!?
千世ちゃん なに? なんか言った?
いえ なんでもないです!
《3年… それって 結構な年月だよね。
産まれたばかりの赤ちゃんが ハイハイして つかまり立ちして
1人で立って
歩いて 走って
跳んで…。
きっと 今や…》
(物音)
千世ちゃん どうしたの?
千世ちゃん? あっ いえ… ホントに なんでもないです!
気にしないでください!
《3年といえば 産まれたばかりの赤ちゃんが
スキップできるまでに成長する
長い長い年月で
そんな年代物の下着
瀬尾さんの前で つけるわけには…》
よし!
《ということで
全裸バスローブという 選択になったわけで…》
とっても きれいだよ 千世ちゃん…。
瀬尾さん…。
夜も すてきだけど 朝の風景も きれいでしょ?
あっ… はい。
コーヒーのシミ きれいに落ちたね。
ああ… はい…。
ホテルのクリーニングって すごいんですね。
そうだね。
あっ ここの 本当に おいしいから ぜひ。
あっ… はい…。
《どうしよう…》
《昨日は…》
《あんなことや
こんなことをしたから
瀬尾さんのこと まともに見られない…》
千世ちゃん。
は… はい…。
大事な話があるんだ。
しっかり聞いてほしい。
おためしのことなんだけど…。
《瀬尾さん すごく真剣な目。
これって まさか…》
おためしの おつきあい 終わりにしよう。
えっ? もう?
うん… 残念だけど…
《それって やっぱり
私との あんなことや こんなことが
よくなかったから?》
3か月で どうかな?
3か月?
おためしの期限だよ。
どうしても 気持ちが 追いつかなかった場合にね
お互いのために…。
《これは きっと お互いのためじゃなくて
私のことを気遣って…》
千世ちゃん…。
この 3か月
僕に 君を 全力で愛させてくれるかい?
瀬尾さん…。
あ… あの… 私
あの…。
好きになりました!
えっ?
その
瀬尾さんとの… キスが…。
よかった…。
食べようか。
じゃあ…。 あっ… また。
~
《瀬尾さんとのキス
とっても好きだけど…》
《瀬尾さんに 触れられるのも…》
~
《瀬尾さんと 抱き合うのも…》
全部 全部 大好きで…。
《えっ… これって
瀬尾さんのことが 好きってことで いいんだっけ?
あっ そっか
私 恋愛から遠ざかりすぎて わからなくなってるんだ…。
好き って どういうことなのか…。
こんな気持ち すごく大人で
今まで たくさん 恋愛してきた瀬尾さんには
わからないだろうな…》
ん~っ!
<瀬尾一愛 45歳 みずがめ座 B型。
好きなパスタは パプリカとベーコンのアラビアータ>
うん…。
どう? ここのパスタ 塩加減も ゆで加減も
絶品だと思うんだけど。
今日で 会うの 最後にしたいの。 えっ?
ごめんなさい うまく言えないけど
なんか 私たち 合わないのかな って…。
とにかく ごめんなさい。
私から 恋人にして って言ったのに…。
<僕の恋愛は だいたい こう終わる>
しかたないよ…。
今まで ありがとう。
<僕の決まり文句も だいたい同じ>
(一葉)ちょっと 聞いたわよ!
また 恋人と別れたんだって?
もう 何人目? いや えっと
姉さん 亜紀ちゃんの前で そういう話は…。
13人目! えっ?
亜紀の年と 同じになったね~。
亜紀 おもしろがってないで…。
こういう男に 引っかかっちゃだめよ!
ていうか おじちゃん イケメンで優しいのに
な~んで すぐ フラれちゃうの?
なんでって… なんでだろうね。
一愛はね 昔から なかなか 熟しがたい子だから
相手にも それが 伝わってしまうんだろうね~。
熟しがたい? なに それ?
苦っ! そういうの!
えっ?
全然 恋の気持ちが 熟さないままだから
相手にも それが 伝わっちゃうのよ。
母さん…。 う~ん! 私の あま~い!
アンタは 熟しやすくて 恋愛体質だったから。
フフフフ…。 フフフフ じゃないわよ。
一愛
あまり 周りに 迷惑かけない程度に
好きに生きればいいけど
でもね 母さんには
一緒に バージンロード歩きたい って夢も ひそかに あんのよ。
バージンロード? いや 俺 花嫁じゃなくて 花婿。
私も 一緒に歩く! 私も!
じゃあ そのときは 4人で バージンロード 歩きましょう!
おぉ~! ウフフフ…!
(亜紀)じゃあ そのときまでに もっと 髪の毛 伸ばさなきゃ!
<陽気な母 しっかり者の姉
かわいい めい。
打ち込める仕事。
打ち込める趣味> よしっ!
<僕の人生 それで 十分だと思っていた。
このときまでは…>
アホって お前 子どもかよ。 いいだろ…。
(殴られる音)
ああっ…。 あ~あ ホント ムカつく このオッサン!
あのね… ここは 子どもたちの 大切な場所なんだ。
注意するのは 当たり前だろ…。
テメエ以外 誰も注意しねえよ! うわっ!
アホか オッサン! うっ!
もっと 言ってみろよ!
おい!
《このまま… 死ぬのかな…》
じゃあ そのときは 4人で バージンロード 歩きましょう!
《みんなの願い… かなえてあげられなくて ごめん》
うりゃ…!
オッサン…!
なんだ お前…!
経年劣化 事故 台風
あらゆる天災による破損は しかたのないことだとしても!
はぁ? バカによる器物破損は
何があっても 許さない!
とりゃ~! あ~っ!
うっ…。
< この日 僕は
いたいけな女性が みたび
大の男を 空に浮かせるのを 見てしまった>
うぉ~!
うわっ!
大丈夫ですか?
ああ… 情けないね…。
余計なことしておいて 女性の君に 助けてもらうなんて。
誰かを助けるのに 性別は 関係ありませんよ。
あそこだ!
大丈夫ですか? こちらの方を よろしくお願いします。
はい。 私は 警察に 事情を話してきますんで
お体の ご快癒 切に願っています!
あっ あの…。
< これっきり 彼女とは もう 会えないものと思っていた>
うっ…! 大丈夫ですか?
胸が 痛いんですか?
はい… い 息が できない…。
ゆっくり 息を吸って
吐いて… 吸って…。
< あとになって わかった。
これは 傷の痛みのせいではなく
恋の痛みのせいだったのだと…>
じゃあ みんな 帰るよ~。
< もう一度 彼女に会いたい。
会って お礼がしたい。
その一心で 僕は ここに通い続けた>
<風が 吹きすさぶ日も…>
< うららかな ポカポカ陽気の日も…>
いい天気だなぁ。
あのう…。
はい?
よく お見かけするんですけど なんか 用事あるんですか?
はい? えっ… ないんですか?
あっ いや その…。
あっ… 失礼しました…。
< でも そのせいで 不審者になる 一歩手前となり…>
いらっしゃいませ。
<彼女とは もう 会えないのだと 諦めていた…>
日替わりランチ ごはん 大盛りで。 (コナツ)は~い!
《えぇ~っ!》
《は… 早く 声をかけなきゃ。
彼女の この リズミカルな食べっぷり》
《からあげ1個につき 30秒で そしゃくする このペース》
《マズい! もう 食べ終わってしまう!》
ごちそうさまでした~! ありがとうございました~。
《早い! さっきから まだ 10秒しか…》
はい お会計1, 000円です。
《早く追いかけなきゃ。 せっかく 会えたのだから!》
ごちそうさまでした~。
(ハル) いつも ありがとうございま~す。
あのっ! すみません!
あっ… すみません…。
あの… 少し…。 あっ やっぱり!
あのときの方ですね。 えっ?
あっ ケガ もう 大丈夫ですか?
あっ… はい…。
よかったです… 気になっていたので。
えっ… 気にしててくれたんですか?
はい。
あの… その… あっ…。
その節は 本当に ありがとうございました。
えっ… なに 言ってるんですか?
当たり前のことを しただけです。
< このとき 僕は 初めて わかった。
母さんが言った
熟する という言葉の意味が…>
< これが… 恋…。
そして それから 3か月がたち
僕たちは 結ばれた…>
< しかし…>
では 報告は 以上ですね?
はい…。
確認します。
篁千世さんと出会って この3か月
2人は ランチ友達として 交流を深め
1週間前 意を決して あなたのほうから告白。
そして 昨日 先方から
おためしで おつきあいすることの 提案が なされ
その日のうちに ホテル ユーラシアの一室で
双方 合意のうえで…。
肉体関係に及んだと…。
はい…。 (拍手)
ブラボー!
おめでとう 一愛ちゃ~ん!
もう 今日はね 仕事 早く終わらせちゃって
3人で 祝杯をあげるっていうのは どうかな~?
それは いい提案ですね。 あっ そうだ ちょっと待ってて~。
「パッ パ パパッパ パッパ パパッパ パパパ パパパ」
ジャーン!
これね 僕と一愛ちゃんの 同じ年のワイン! 45年物!
これで パーッと 3人で お祝い…。
そんな のんきな話じゃない! えっ?
僕は
とりかえしのつかない過ちを 犯してしまった…。
一愛ちゃん どうしたの?
瀬尾さん?
(苦しむ声)
ほら 遅いよ もう! 毎回 ギリじゃないの~。
どこ 行ってたの もう…。
ご ろく…。
なに… 何があったの 一愛ちゃん!
大丈夫? ねぇねぇ ねぇ…。
ひどい汗です… 急いで 病院へ!
タクシー 呼びます。 いや! 救急車を呼ばないと…。
(苦しむ声)
1192…。 119です。
ああっ そうか… 鎌倉幕府。
(苦しむ声)
あっ…。 どうした?
ううん。
《なんか… 嫌な予感…》
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