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（男性たちのにぎやかな声）

（福長永慈ふくなが えいじ）カシオレで

（店員）500円です

（男性）はい　もっと寄ってよ

いえーい

（永慈）ああ すいません

（男性たち）カンパーイ

フーッ

（男性）ハハハハッ
（男性たち）フーッ

（男性）やだ

（男性たち）フーッ

（男性）フーッ
（男性）ハハハッ

（男性）１人？

（永慈）はい
（男性）へえ

（男性）こういうとこ 初めて？

ええなあ ああいうの

（永慈）結構？
（男性）まあ ちょくちょくな

来るけど

（男性）フーッ

ハハッ

お名前は？

（永慈・男性）フフッ

（永慈）すいません

（客たちのにぎやかな声）

（永慈のせき込み）

ハア…

ああっ

（花）ハア…
ちょっ… もう閉店ですけど

閉店ですけど

（永慈）
ほんま ラストだけ… うっ

（花）ほら もう
ラスト 終わったんやって

飲みすぎやろ

兄さん 何か やなことあったん？

（永慈）別に

明日 仕事とかあるやろ

もう帰りいや

（永慈）どうせ バイトやし

（花）ふーん

やりたいことのために
お金 ためてる的な？

（永慈）普通になりたい

アハッ

気取ってんなあ

（永慈）君は？　やりたいこと

うち… 役者になりたいねん

（永慈）へえ

ええなあ そいうもんあって

うっ

ホント ダメやな 俺

ハア…

“人生は ただの動く影”

“しょせんは
哀れな 一役者にすぎない”

“その持ち時間を舞台の上で―”

“腹を立てたり 気取ったり”

“出番が終われば 消えるだけ”

（永慈）え？

ハッ シェイクスピアやん

要は 人間
いつか 消えてなくなるんや

何あったか知らんけど―

そんなに考え込まんで
ええってことやない？

まあ うちの勝手な解釈やけどな

（永慈）フッ

（妹尾槙雄せのお まきお）
なあ 今日も車で来とるん？

（永慈）うん

送ろか？

終わるまで もうちょいかかるけど

（槙雄）待っとく 待っとく
（永慈）ハハッ

終わらせなな

（高木美枝子たかぎ みえこ）ほな お先

（永慈）えっ えっ １人で？
危なくない？

危なくないよ
実際 １人で帰る日もあるし

（永慈）え…

あっ 遅くなるほうが
親御さん 心配しはる？

ない ない

うち お母さん
仕事で帰ってくるん 遅いから

どのみち １人やし

（永慈）そうなん？

待っといたらええやん

遅なっても
送ってもらうほうが安心やろ

そうやな　そうしよ 美枝ちゃん

（美枝子）うん

（永慈）
ほな 片づけ 急ぎましょね

（槙雄）せやな
（美枝子）手伝うことある？

（永慈）ううん 休んどって

（美枝子）ありがとう
（永慈）フフッ

（槙雄）
はよ はよ はよ はよ はよ

（永慈）ちょ… 待って
（槙雄）はよ

（永慈）
あれ？　鍵 どこやったっけ？

（槙雄）えっ ないん？
（美枝子）ええっ

（槙雄）えっ はい １ ２…
（永慈）ちょちょ 焦らせるな

（槙雄）サンマのしっぽ
（永慈）ああ あった あった あった…

（槙雄）あたたたたたたたっ
（美枝子）ハハッ

（永慈）はい はい
（槙雄）はよ はよ はよ

（美枝子）はい うちが先
（槙雄）なっ あっ…

（槙雄）負けた
（永慈）めっちゃ はしゃぐやん

（槙雄）おおっ ええなあ
俺も車 欲しいわ

（美枝子）永ちゃん このまま
ドライブして帰ろうよ

（槙雄）おお ええなあ それ
（美枝子）やろ？

（永慈）ええけど
遅なって ほんまに大丈夫？

（槙雄）
いや 俺んち 放任主義やから

やから うちも大丈夫やし

（永慈）え…

（槙雄）んっ シートベルト

ああ

（永慈）よし じゃあ 気晴らしに
この辺 ぐるっとしていこか

子供だましか？

ドライブ いうたら高速 乗るやろ

（永慈）ええっ

“ええっ”ちゃうわ

ほんまやで

何が“ぐるっと”やねん
遠くまで行くで

（美枝子・槙雄）行くで

（槙雄）はよ はよ
（美枝子）はよ

（永慈）ハッハッハッ

（美枝子）うわあ

（永慈）ホッホッ

（美枝子）何か のみ込まれそうやな

（永慈）ほんまやな

（槙雄）海！
（美枝子）おおっ びっくりした

（永慈）いや 湖やて
（槙雄）海や うわっ 危ない 危ない

（美枝子）フフッ
（永慈）ハハッ

でも 暗くて見えんけど
昼間 来たら きれいなんかな？

（永慈）うーん… ほんなら
今度 昼間 来よか ３人で

永ちゃんって優しいな

（永慈）２人もやん

いや ２人が優しいんやで

（槙雄）
はよ 来きいや　波 ヤバいで

（永慈）ハハハッ
（美枝子）ああ

（槙雄）はよ

（槙雄）永慈
（美枝子）行き

（槙雄）見てみ
（永慈）何？

（槙雄）波 波

（槙雄）見てみ
（永慈）うわ 海… おっ 危な

（美枝子）危ないって　フフッ

（永慈）海みたいやな ほんまに
（槙雄）美枝子も来きいや

（美枝子）よいしょ

（槙雄）はい

（美枝子）フウ…

（車のエンジンをかける音）

（槙雄）シートベルト

（美枝子）あ… そっか

お前 行く時も忘れとったやろ

（美枝子）昔は こんなんせんで
ようなかった？

いつの話しとるん それ

まあ 10年くらい前は警察とかも
緩かったみたいやけどな

（榊さかきみちる）高木さん

（美枝子）はい

妹尾君とつきあってへんって
ほんま？

（美枝子）ほんまやけど　てか…

あっ 私 Ｂ組の榊

あんな
じゃあ お願いがあるんやけど…

あっ 美枝子ちゃんって
呼んでいい？　なあ

なあ 私と妹尾君のこと
取り持ってくれへんかな？

（美枝子）いや 遠慮しときます

（みちる）なあ ちょっと待って

（美枝子）は？　ちょっ…
（みちる）話 聞いて

（美枝子）分かったって

…で？

私 妹尾君と話したことないねん

クラスも違うし

でも 気づいたら
目で追ってるんよね

ほんで？

…で 外堀から埋めよう思て

美枝子ちゃんに白羽の矢が…

マッキー 別に嫌がらんと思うし
普通に直接 いけば？

それができたら頼んでへんやん

知らんし　もうバイトあるから

ああ 最後に１個

（美枝子）何？

美枝子ちゃんは 妹尾君のこと
どう思ってるん？

（美枝子）ハア…

何っとも思ってへんよ

（みちる）ほんま？

ほんまにほんま？

ほんま

（みちる）よかった　安心したわ

ほなね

（美枝子）どう思ってるかを
正直に言うなら…

あるのは たぶん 他の女子への
優越感みたいなもので

でも 例えば
マッキーに好きな子ができたら―

私は嫌やと思うんやろか

（槙雄）ああ カッコええな
（美枝子）一番ちっこい

（美枝子）カッコよくないで
一番ちっこいやつ

ええなあ

（美枝子）ほんまやなあ
（槙雄）あれ あれ 永ちゃんやで

（永慈）フハハッ
（美枝子）ハハッ

（永慈）ハハッ

おお…
昨日 雨 言うてたのに晴れたな

なっ 永慈

そやな

うおおっ ハハッ

（美枝子）アハハハッ
（槙雄）ヤバい

（美枝子）ええなあ
（槙雄）ヤバい

（美枝子）え… うちもやりたい
（槙雄）ヤバい

美枝子も来きいや

（美枝子）ええっ

（槙雄）うわっ 濡ぬれた
（永慈）おお うまそやな

マッキー 肉 焼けんで

（槙雄）ん？
（永慈）肉

（槙雄）おお

（槙雄）見て 見て 見て
（永慈）ん？

おお きれいやな

（槙雄）ええやろ
（永慈）ハハハッ

（美枝子）何？
（槙雄）見て

おお

（槙雄）きれいやろ
（美枝子）うん

（永慈）はい　ああ ありがとう
（美枝子）はい

（永慈）はい　このおっきいのと…
（槙雄）肉 肉 肉 肉

（永慈）カボチャ 食べれる？
（槙雄）うん 食べれる

（美枝子）ああ これ　はい
（槙雄）ありがとう

（永慈）美枝ちゃんも皿 貸して　はい
（槙雄）肉 肉 肉 肉

（美枝子）よいしょ
（永慈）フフッ

（永慈）じゃあ…
（槙雄）うまそ

（永慈）はい
（美枝子）よいしょ　ありがとう　これも

あ… 箸ないな　箸

（美枝子）ああ 箸
ごめん ごめん 忘れとったわ

（永慈）はい ありがとう
（美枝子）はい

（槙雄）よし
（美枝子）よいしょ

（３人）いただきます

（槙雄）うん うまい
（永慈）うん

（美枝子）うん うまいな
（槙雄）うまい

（槙雄）うまっ
（永慈）うん

（美枝子）うまっ
（永慈）フフフフッ

やっぱ キッチンやっとると
肉 焼くの うまくなるんかな

（美枝子）ああ
（永慈）誰でもできるわ こんなん

（美枝子）ハハハハッ
（槙雄）ほんまに？

めっちゃうまい

（永慈）飲みもん
（美枝子）ええわ

（永慈）ないな　よいしょ

あ… ありがとう

（永慈）うん

（美枝子）なあ マッキー
（槙雄）ん？

Ｂ組の榊みちるって子
知っとる？

（槙雄）榊？
（美枝子）うん

（槙雄）誰？

何か あんたと友達になりたい
みたいなこと言うてたわ

（槙雄）ふーん
（美枝子）うん

けど そんなん言われても
知らんしな

（美枝子）せやな
（槙雄）うん

榊か

榊と高木って韻 踏んでんな

（美枝子）もうええわ
（槙雄）ハハハッ

（永慈）よいしょ
（槙雄）榊… んっ

（永慈）よっ 何 飲む？
（美枝子）うん

（永慈）うーんとね…
（槙雄）これ 食べよ

（永慈）コーラとオレンジと…

（美枝子）うん

カルピスかな

（美枝子）コーラ
（永慈）コーラ？

（美枝子）うん
（槙雄） これ めっちゃうまい

（永慈）待ってな
（美枝子）うん

（槙雄） これ めっちゃうまい

（美枝子）あ… ええよ
（永慈）あ… いいよ　やるやる

おお ああ…

（美枝子）
アハハハッ めっちゃ出た

（美枝子）危ない 危ない
（永慈）うん

（槙雄）ちょっと食べてみ
（永慈）あっ 無理や

（美枝子）ほら 無理やろ？
（槙雄）永慈 食べてみ

えっ あ… いいよ

（永慈）いい いい
（槙雄）あっ 垂れる

（永慈）うわっ うわっ
（槙雄）垂れる うわあっ

（槙雄）うわあっ
（美枝子）何しとんねん

（槙雄）食べてみ 食べてみ
（美枝子）ちょっと

（永慈）いい いい
（槙雄）食べてみ

食べてみ
落ちる 落ちる　食べてみ

刺さる 刺さる

（槙雄）うわあ
（美枝子）気ぃつけや

危ない 危ない
マッキー ハハハッ

（槙雄）なっ うまいやろ？

（永慈）うまいな
（槙雄）ハハハハッ

（槙雄）はよ 食お
（美枝子）うん　はい

永ちゃんも はい

（槙雄）ついてんで ここ
（美枝子）うん

器…

（永慈）フフフフッ 大丈夫

（美枝子）はい オレンジも
（永慈）ありがとう

（槙雄たちのはしゃぎ声）

（槙雄）おんぶしてよ
よいしょ　よいしょ

（永慈）わっ うわっ
（槙雄）よいしょ

うわっ 怖い 怖い 怖い
怖い 怖い 怖い

ねえ ねえ

（美枝子）
えっ 上までいってる　あっ

（槙雄）ついた？
（美枝子）ついてるんちゃう？

（槙雄）いけ いけ いけ いけ
きた　きた きた

（槙雄）きた きた きたーっ
（永慈・美枝子）ハハハッ

あ… ここで

（永慈）はい はい はい はい

（槙雄）また
（美枝子）よいしょ

（美枝子）うん
（永慈）またな

（美枝子）ありがとう
（永慈）うん

（美枝子）よいしょ
（槙雄）気ぃつけや

（美枝子）ほーい

（槙雄）そっち 行ってええ？

（永慈）うん ええよ

家に人 おらんのかな

お母さん いつも 帰り遅いって
言ってたけど共働き？

（槙雄）いやあ あいつ
お父ちゃん おらんのとちゃうかな

あ… そうなん？

いや 知らんけど
何か そんな感じすんねん

（永慈）ふーん

ほら この前も 昔は―

シートベルト せんかったって
言うとったやん

（永慈）うん

あれ お父ちゃん おった時の
記憶なんちゃう？

よう見とんな マッキー

まあ 勘やけど

ハハッ 何や それ

ほな 行きますか

（槙雄）せやな

（美枝子）大人になったな 自分

10年たてば 人は変わる

どんどん忘れていく

はい はい はい～ はい

マッキー 着いたで

（槙雄）んっ…

寝とった？　俺

（永慈）うん
（槙雄）ごめんな

（永慈）ううん

（槙雄）変な夢 見たわ

（永慈）夢？

（槙雄）あ… もう家か

（永慈）うん

（槙雄）ほな またな

（永慈）うん

（槙雄）今日は ありがと
（永慈）うん

（２人）おやすみ

（永慈）うん

（槙雄）おお うまそうやん

（永慈）おい
（槙雄）味見させて

（永慈）え？
（槙雄）あ…

おい ちょっ… 待ってな

（槙雄）はよ
（永慈）うん

（永慈）熱いから気ぃつけや
（槙雄）うん

うん うまい

ああ

あ… 俺 小さいのでええわ

（槙雄）おお 分かった
（永慈）白いの

（２人）うん

（永慈）アチッ
（槙雄）置いとくな

（永慈）うん

（槙雄）そや
（永慈）うん

（槙雄）
昨日 変な夢 見たって言うたやん

（永慈）ああ

（槙雄）あれ たまに見んねん

（永慈）うん

（槙雄）
知らん古いアパートみたいなとこに
１人でおんねん

（永慈）うん

（槙雄）…で 何か知らんけど
俺 タバコ 吸っとんねん

バンバン吸っとんねん

（永慈）うん　何してるん？

（槙雄）うーん… たぶん
誰かのこと 待ってんのやろな

…で トントンって
ドア たたく音して

ドア 開けんねん

（永慈）うん

でも そこには だ～れもおらん
だ～れも

（永慈）うん

（槙雄）何やろな この夢

（永慈）さあ

（槙雄）
まあ 夢やしな　分からんよな

（永慈）うん

（美枝子）お疲れ

（槙雄）おう お疲れ
（永慈）お疲れ

（美枝子）あっ マッキー
今日 早番ちゃうん？

（槙雄）
まかないだけ食べたら帰る

ちゃっかりしとんな

（槙雄）
だって永慈のメシ うまいやん

（美枝子）いや そやけどさ

（槙雄）今日 チャーハンやで
（美枝子）えっ チャーハンなん？

（槙雄）チャーハンやで
（美枝子）ええっ

（槙雄）じゃーん
（美枝子）うわっ

（美枝子）うまそう
（槙雄）食べる？

（美枝子）食べたい
（槙雄）食べる？

（槙雄）あっ
（永慈）ああ

（槙雄）永慈の はい 食べ食べ

（美枝子）えっ 永ちゃんのでいいの？
（槙雄）うん 食べ食べ

（永慈）ハハハッ

（男性客）俺も…
俺の若い頃には負けてるな

（永慈）アハハッ ほんまですか
（男性客）うん

（永慈）一瞬 すんません
（男性客）ああ はい はい

（永慈）美枝ちゃん

（美枝子）何？

終わったら送っていくから
ちょっと待っててくれへん？

ええけど

（永慈）ありがとう

（永慈）あ… すんません
（男性客）ヘヘヘッ

（男性客）いや 頑張ってるな思て

（永慈）ありがとうございます

お疲れ

（美枝子）おう お疲れ

（永慈）どっちがいい？

（美枝子）え？
（永慈）微糖かブラック

（美枝子）じゃあ 微糖　ありがと

どないしたん？

（永慈）うん

うーん…

美枝ちゃんは学校でも
マッキーと一緒におんの？

えっ そうでもないよ
クラス ちゃうし

（永慈）そっか

えっ 聞きたいことって
マッキーのことなん？

（永慈）うん

（美枝子）何？

（永慈）マッキーって…

つきあってる子 おる？

…っていうか ごめん
こんなん言うて何やけど―

美枝ちゃんが もし
マッキーのこと好きなんやったら…

あっ ちゃう ちゃう
ちゃう ちゃう

あ… あの…

学校には マッキーのこと好きな子
いっぱい おるけどな

いっぱいか

マッキーのこと… 好きなん？

まあ…

あいつ 今んとこ
誰とも つきあってへんし

またドライブとか
誘ってあげたら？

（永慈）うん

美枝ちゃんも一緒に行こうな

そこは２人やろ

（永慈）そっか

うん

（みちる）美枝子ちゃん
（美枝子）あっ

何なん？　あんた

待っててん

妹尾君のこと いろいろ
聞いとかなあかんやんか

そんなん直接 聞きいや

だって そんな勇気ないんやもん

（美枝子）
マッキー まだ教室におるかもよ

行ってきいな　ほら

ん？　何？　帰る？

これ 榊　一緒に帰ったげて

（槙雄）榊？　ああ 韻の

じゃ

（みちる）無理 無理 無理
無理 無理 二人っきりは

（美枝子）
は？　いや いいから行きな

（槙雄）榊と高木

（美枝子）ああ それそれ

先 帰んで

（美枝子）ほら 行くで

何なん

（槙雄）
おっ ピザやん　腹 減ったわ

（みちる）せやね 腹 減ったな

（槙雄）なあ　何か食う？

（みちる）うん　何 食べる？

（槙雄）うーん…
何か うまいもんあるかな

（みちる）うーん…
（槙雄）あっ

おお 永慈やん

（永慈）おお え？

（美枝子）何してんの？　ハハッ

（永慈）
いや バイトまでの時間潰し

（槙雄）あ… そうなん？
（永慈）おお

（槙雄）ほお

（永慈）こんにちは

（みちる）こんにちは

（美枝子）
ああ 永ちゃん　バイト先の友達

（みちる）ああ
（永慈）福長です

（みちる）榊です

（槙雄）榊と高木
（永慈）アハハッ

（永慈）言ってた子か
（槙雄）そう

（美枝子）うっさいわあ

（永慈）韻の子や

（みちる）アールグレイと―

（みちる）チーズケーキください
（店員）はい

（美枝子）カフェオレで
（店員）はい

コーヒーとピザトースト

（槙雄）あとチョコケーキ
（店員）はい

（永慈）俺もコーヒーで
（店員）はい

お水 後ほど お持ちしますので
少々お待ちください

（美枝子・槙雄）
ありがとうございます

今日は俺のおごりな

（槙雄）おっ いや いゃ いゃ いゃ いゃ
（みちる）えっ いいんですか？

（槙雄）おっ いや いゃ いゃ いゃ いゃ
（みちる）えっ いいんですか？
（美枝子）
もう 永ちゃん…

ええよ たまには

（槙雄）そう ええよ
（美枝子）あんたが言うな

（槙雄）フッ ええやん

（永慈）ちっちゃくて かわいいい
学生さんら いるなあ思ったら―

美枝ちゃんたちやって
びっくりした

（槙雄）ハハハッ
いや 俺も びっくりしたわ

かわいいって主に榊のことやろ？

ええっ 私なんか
そんな かわいくないよ

（槙雄）
いや かわいいやん ちっさくて

（美枝子）そういえば マッキーの
タイプって どんな子なん？

（槙雄）タイプか　せやなあ

うーん… 大人な女… とか？

（美枝子）ふ～ん…

（槙雄）何やねん
（美枝子）いや 別に

（槙雄）何？
（店員）失礼します

（槙雄）ありがとうございます

…ってか ごめんな
急に知らんやつ 合流して

あ… いえいえ 楽しいです

いいですよね バイト仲間とか
憧れる

（槙雄）
じゃあ 榊も すればええやん

ダメなんよ
バイト 禁止されてて

えっ 誰に？

お父さん

ちょっと過保護なんやけど…

でも 高校のうちは
学校 楽しんどけって

（槙雄）ふーん そうなんや
（美枝子）そっか

（永慈）まあ それもそれでええわな
（槙雄）せやな

（みちる）したいんやけどな
（槙雄）なあ

（槙雄）コーヒー 飲めたわ

（永慈）飲めてたな

ブラックやで

（永慈）大人や
（槙雄）そやろ

大人やろ ブラックは

（美枝子）なあ
（みちる）ん？　何？

マッキーのどこが
そんなに好きなん？

（みちる）えっ

うーん… だって カッコええし
運動神経ええし

そんなんで人を好きになれるん？
そんな簡単に？

なんで？　なれるよ

美枝子ちゃん なれへんの？

（みちる）待って
（槙雄）おお

（美枝子）永ちゃんと榊

マッキーを好きな子は
どっちも かわいいな

２人のうちのどっちかを
マッキーが好きになる

そんな日が来るんやろか

でも いつか
みんなが離れ離れになって―

マッキーがおらんくなる

そんな日が来たら うちは…

（槙雄）美枝子

（美枝子）あ… ごめん

♪～

（みちる）
うちらも水鉄砲したいなあ

（永慈）暑いなあ

（槙雄）これ
どうやって 水 出すん？

（みちる）濡れて帰ったら
たぶん 怒られるわ

（美枝子）ん？
（みちる）濡れて帰ったら怒られるわ

（美枝子）誰に？
（みちる）親に

（槙雄）動くな 撃つぞ

撃つぞ　撃つぞ

ダメ ダメ　マジ ダメ
マジ ダメ　マジ ダメ

（美枝子）うわっ ちょっと

やめてえな

（槙雄）
ちょっと 疲れちゃった

待て マジで… 分かった

（永慈）かけたれ かけたれ
（槙雄）ダメだよ

（永慈）かけたれ

（槙雄）こいつを… こいつを撃て
（永慈）いや 俺…

（槙雄）こいつを撃て… わあっ

（永慈）やっぱ マッキーかい
（槙雄）やられた

負けた

（美枝子）マッキーの負けだな

（みちる）かわいい

かわいい

（永慈）あっ くれるの？

ありがとう

～♪