All language subtitles for ひらり 第009话

♬～

♬「山へ行こう　次の日曜」

♬「昔みたいに　雨が降れば」

♬「川底に沈む橋越えて」

♬「胸まである　草分けて」

♬「ぐんぐん進む背中を」

♬「追いかけていた」

♬「見失わない
ように」

♬「抱えられて」

♬「渡った小川」

♬「今はひらり」

♬「飛び越えられる」

♬「一緒にね　いろんな話ししよう」

♬「晴れたらいいね　晴れたらいいね」

♬「晴れたらいいね」

♬～

（ゆき子）久男　まだ寝てんのかしら。

（ひらり）ほっとけば　あんなやつ。

（みのり）力士になりたいんだか
なりたくないんだか➡

煮えきんないって怒ってんのよ。

（洋一）断りに来たんだから
なりたくないんだろ。

なりたいのよ　内心　絶対。

どうでもいいや。

（足音）

（久男）おはようございます。
（ゆき子）おはよう。

えっ　帰るの？
（久男）はい。

いろいろ　お世話になりました。

もう一泊するんじゃなかったのか。

（久男）そのつもりでしたけど
帰ります。

帰りたいって言ってんだから
帰ればいいのよ。

帰りたいから帰ります。

（小三郎）ひらり。
んっ？

久男　ごはん食べたら？
はい。

うん　分かった。

♬～

（梅若）そうか。　帰るか　今日。

私だ。　ひらりちゃん　２時間ばかり
時間　稼いでくれないかな。

ん？　いやいや　とにかく➡

２時間後に　ここへ挨拶に来るように
久男に　そう言って。

頼んだよ。
明子。

（明子）分かってます。
正浩を早く呼ぶのね。

そう　それだ。
紹介者の木原さんにつないでくれ。

正浩を　一人でよこすようにって。
俺が言う。

うん　一人の方がいい。

なるほど。
本牧の１，０００坪の土地を手放すか…。

軽く見積もっても　１５億だな。

（清水）ええ。
持ち主は　個人でしてね。

その金で　新たに土地を買うとかの予定は
調べた限りではありません。

よし。　そっくり　うちの口座に頂こう。

当然です。　この話は　まだ
どこの店も気付いてないはずですから。

分かった。
すぐ　２人で挨拶に行こう。

はい。　支店長の　生きのいい顔
久しぶりに見ました。

フッ　困ったもんだね。
大口を取ったの取れないの➡

ほかの店を刺すの
刺されたのっていう話になると➡

急に燃えてくる。

この度は　本当に
申し訳ありませんでした。

これで　帰らしていただきます。

そうか…。　帰るか。　うん。

正浩はどうしたんだ。
どうしたんでしょうね。

列車で帰るのか？　飛行機か？

（久男）飛行機で帰ります。
おお～　飛行機か　そりゃいい。

（明子）どうしたのかしらねえ。

あっ…　あっ　私　何か
おなか　すいちゃった！

あっ　そうだ。　お昼食べてかない？
（梅若）おお…　そうしなさい。　ねっ。

遅くなりますから　これで。
（梅若）いやいや…。

（明子）せっかくだから。

⚟（正浩）野村正浩です。
（明子）お入んなさい　正浩。

さあ　どうぞ　どうぞ。

（正浩）野村正浩です。　一生懸命
頑張りますので　よろしくお願いします。

（梅若）うん　頑張ってくれ。

新弟子だ。　といっても行司だがね。

行司さん？
（明子）そうなの。　中学出たばかりの１５歳。

知らなかった
行司さんが入るなんて。

藪沢ひらりです。

（梅若）うちの部屋のマドンナだ。

よろしくお願いします。
よろしく。

（正浩）あの…　加賀谷久男さん？

はい。

（正浩）新聞で　僕と同じ部屋に
入門するって知って➡

すごくうれしかったんです。
よろしくお願いします。

ああ…。

正浩　久男は入門しないんだ。

（正浩）えっ　どうしてですか？

あの…　おうちのお仕事
継ぐことになったのよ。

そうですか…。

正浩　入門に際し　言っとく。

お前の実家は　３０分の所にあるが
簡単には　帰れんぞ。

はい　平気です。

（梅若）おふくろさん　反対してんだろ。

はい。　自分が寂しいからだと思います。

（梅若）オヤジさん
早く亡くしてるからなあ。

はい。　でも　僕は平気です。

立行司になるのが
自分の夢ですから。

じゃあ　あの　お部屋に案内するわ。
みんなと一緒の　大部屋だけど。

はい　分かってます。
平気です。

じゃあ　僕も　これで失礼します。

よろしくお願いします。
失礼します。

♬～

どうしたの？

（久男）俺　結構ショックだった。➡

あの行司　何を聞かれても
「平気です　平気です」って。

それで　立ったら
俺の方が　４０センチもでかくて…。

それなのに　あいつの方がでかく見えた。

もう一度だけ聞くけどさ
何で　力士やめようと思ったの？

私　どうしても分からないのよ。
俺も　分かんないんだよ。

理由　いっぱいある気もするし…。

プロじゃ　通用しっこないとか➡

やっぱり　高校中退じゃ
後で困るかなとか　いろいろ…。

相撲　やりたいんだけど
やっぱり　とんでもない世界だもん。

いざとなりゃ　ビビるよ…。

うん　分かる。

（久男）俺　ケロッと
「平気です」って言えない。➡

ひらりみたいに
バンバン行動起こせないし➡

俺とみのり　よく似てんだよ。

私さ　まだ二十歳だし　死ぬ時のこととか
全然　考えてないけどさ➡

死ぬ時に　後悔したくないのよ。

うちのおばあちゃんさ　死ぬ時に
おじいちゃんに言ったんだって。

「あんたと結婚して　面白かった」って。

おばあちゃんのこと
全然　覚えてないけどさ➡

きっと　笑いながら
死んでったと思うんだよね。

私もさ　そうなりたいもん。

だったら　とにかく
思ったとおりに生きるしかないじゃない。

うん…。

（久男）俺　ホントに
分かんなくなってきた！➡

力士になりたいし
なりたくないし…。

ねえ　明日…。

明日？

朝稽古で　まわしつけてみたら？

プロの力士にぶつかってみれば➡

自分の力が　はっきりするでしょ。

それで駄目だと思ったら　帰ればいい。

何か　今　このまま帰っても
久男が後悔するだけって気がするの。

どすこい！

おい　おい…。

久男　お～い。

久男　戻ってくると思うか？

思う。

俺　思えない…。

戻ってきます。

何で分かる。

親方は　いい男だから。

そうか。
答えになってねえんだよ。

戻ってこなかったら➡

私と２人で秋田に行って
もう一度　口説きましょう。

口説けるかなあ…。

大丈夫よ。
親方　口説くの天才だもの。

この私でさえ落ちた。

（徳子）お待たせいたしました。

幸栄銀行の横浜山手支店長の
藪沢でございます。

営業課長の清水でございます。

（徳子）ご丁寧に　恐れ入ります。

早速ですが　土地を手放されると
お伺いしましたので➡

いろいろと　お話…。
（チャイム）

はい　どうぞ。

（根本）失礼します。

根本…。

しばらく。
（徳子）あの…。

（根本）あっ　あの　私　オリエンタル銀行
関内支店長の根本と申します。

ありがとう。
失礼します。

さすがだよ。　土地を手放す情報
握ってるのは　うちだけだと思ってた。

俺もだ。　さすがだよ　藪沢。

高校　大学を通じて親友だった２人の
２６年ぶりの再会でした。

どうしてた。

いろいろな。
そうか。

子供　大きいのか？
ああ。　上が２５　下が二十歳。

２人とも　女だ。
そうか。

子供　いくつだ。

いない。
そうか…。

お前が結婚した翌年
見合い結婚して　２年で別れた。

あとは　ずっと独りだ。

離婚して独身で　あのうるさい銀行で
よく支店長になれたな。

フフッ　俺もそう思うよ。
ハハハッ…。

あの…。
ん？

いや…。

奥さん　元気か。

ああ　元気だ。

そうか…。

結婚式に出なかったことは
大人げなかったと思ってる。

昔のことだよ。

時間がたった。
ああ。

結婚なんてのは　一番ほれた女と
するもんじゃないよ。

うまくいってないのか。

いや　こんなもんだと思ってる。

明日　ラグビーの試合なんだ。

ラグビー？　明日って…　銀行は？

休暇取るんだよ。

町の商店街のやつらとな
ラグビーチーム作っててな。

俺　仕事だけという生き方　やめたんだ。

それで　草ラグビーか？
そう。　それで　草ラグビーだ。

帰ったな　久男　秋田。

⚟ひらりです。
おっ　入って！

帰ったか　久男。

ううん。　今　うちにいる。

ホント！？

私ね　朝稽古やってみろって言ったの。

そしたら？
返事しなかった。

でも　明日の朝　まわしつけると思う。

ひらりちゃん！

まだ　分かんないのよ。

でも　多分　そうすると思う。
うん。

親方　明日が正念場よ。
明日　一回だけのチャンスよ。

ああ　分かってる。
梅響に　稽古で負けさせて➡

久男の素質を　ありったけの言葉で
褒めるしかない。

ああ…　褒める　褒める。
いや～　ありがとう。

いやいやいや…。
（明子）もう　ホンットにありがとう➡

ひらりちゃん。